適当日記

日常の瑣事を書いています。

最近読んだ本 森見登美彦(2018)『熱帯』文藝春秋

いままで卒論のことばかり書いてきたのですが、少しブログのやり方が分かってきたので、最近読んだ本の感想なども書いてみようと思います。僕は通勤中にはいつも本を読んでいます。スマホを見ると首がやられてしまうので・・・

 で、最近読んだ本で面白かったのは森見登美彦さんの『熱帯』です。500頁以上あるので、結構読みごたえがあります。誰も最後まで読んだことがない小説『熱帯』を追い求めて、京都市内をかけめぐるというお話です。森見作品をお読みになった方は、彼がどういった作風なのかはよくご存じでしょうが、この作品もこれまでの作風を継承し、ファンタジー要素が入り混じったものとなっています。ついでに、ふざけた内容なのに、やや文語調といいますか、シュールな文体もいつも通りです。

 ネタバレにならないように書くのは難しいですが、『千一夜物語』に着想を得た本のようです(実際に『熱帯』の中で『千一夜物語』がよく出てくる)。『千一夜物語』は、物語の登場人物がさらに物語を語っていくという入れ子型の物語なのですが、『熱帯』も同じで、一つの話がいつの間にか別の話に接続されていて、とにかく不思議です。特に、第四章「不可視の群島」からは本当に物語が錯綜します。これを面白いと思えるか、わけわからん・・・と思うかは読者次第でしょう。

 ハードカバー版の場合、値段は1700円+税とちょっとお高いですが、読む価値ありです(古本ならもっと安い?)。特に、自分は京都の大学に通っていたので、知っている町の名前やお店の名前が出てきて余計に楽しく読めたのかもしれません。京都の町のことを少しでも知っている人、日常を離れて不思議な話を読みたい人には特におススメの一冊です。