適当日記

日常の瑣事を書いています。

印刷が始まる前の技術についてまとめてみました

皆さん、印刷が始まるのはいつごろかご存じですか?なんとなく、西洋から輸入されたんじゃないのとか思っていませんか?違います。しかも、東洋と西洋とでは、印刷の成立時期も違います。

 などと偉そうに言っておきながら、自分も仕事のために調べるまで知りませんでした。西洋から輸入されたんじゃないの?というのも実は、以前の自分の思い込みです。同志はいませんか??

 今回は印刷が始まる前の、「印刷のようなもの」を人類がどこまで開発していたのかをまとめたいと思います。せっかく調べたので(^^)/

 印刷を例えば、「版面を媒介として紙その他の物質上に、文字・記号・図形などを全く同じように複製する技術・行為」と広めに定義した場合、どこまで遡れるかということですが、この定義であれば、なんと印刷は紀元前4000年~5000年まで遡れます。

 

・押印(おういん)法

 エジプト、メソポタミアで行われたとされるものです。要するに判子です。物品の所有、詔勅・法令・布告の類にそれが正当であることを証明することなどに用いられました。下っては貨幣にも押印されます。日本の小判にも押印がありますよね!

 エジプトでは紀元前5000年頃から、ヒッタイト人も紀元前1800年頃から用いました。ペルシャ(現イラン)、ローマ、中国でもこれが古くから行われています。

 

・捺染(なっせん)法

 この方法は、古くインド・中国・ペルシャで見られます。特にインドでは、唐草模様を板に彫って、いろいろな色彩を用います。要するに染物ですね。模様は大量生産できても、文字や複雑な絵は複製できないのは言うまでもありません。染物を印刷といってよいか微妙かもしれませんが。でもプリントTなどという言い方もありますから、プリント=印刷ということでOKなのかもしれませn。

 

・摺拓(しゅうたく)法

 紙や筆、墨、インクが無かったころ、書写の道具に石が用いられたのは洋の東西を問いません。石文(石に刻まれた文字)の古い資料としてはエジプトの「センド石文」というのがあります。これは今から6000年まえのものだそう。また、中国には「石鼓文」があり、2700年から2800年前のものだそうで、こちらも古いですね。

 摺拓法とはこの石文に湿らせた紙を貼り付け、綿で押さえ、生乾きになったら、ポンポンに墨を付けて、紙面を叩く。すると、文字が白抜きになって同じ文面を取ることが出来ます。要は拓本の要領ですね。この方法は、千年以上中国で行われて、日本にも古くに伝わっています。

 

 以上、印刷の一歩手前の技術をまとめてみました。今、我々が普通に言うところの「印刷」に当たるものは、東洋では7世紀の終わり、西洋では14世紀の末期に発生しました。

 

[参考]

庄司浅水(1973:増補二刷)『印刷文化史』印刷学会出版部