アナグラムでひまつぶし
四月も中旬になりました。新入社員・新入生の皆さんは新しい環境にもう慣れましたでしょうか。自分の職場には、新人さんが0人だったので新鮮味がありません。歓迎会とかなんとかが頻繁に行われていることでしょう。今日は、新年度最初の日曜日ということで、家でゆっくりされている方も多いかもしれません。
さて、最近書いているひまつぶしシリーズですが、今日はアナグラムについて調べたことを書いてみました。別に読んでいただいても、劇的に人生が変わるものでは決してありません。でも、へーーという気持ちにはなっていただけるかなと。
普通、アナグラムといえば並べ替えると異なる意味になる文字列のことを指します(回文にやや近いと言えるか)。例えば、次のような例があります。
・内容が良い(ないようがいい)→言いようがない(いいようがない)
・田中角栄(たなかかくえい)→内閣変えた(ないかくかえた)
・古池やかわず飛び込む水の音→婿言わずふと妬ける身の帯とかず
次のアナグラムですが、隠れている人名を見つけられますか?(日本の作家)。
・マリアを消した
・桶ありました
・健康かい
・ケンカ行為
・うちもっとせまいよ
・ちょっと申せまい
・妻子火の上
・あのタワケ留学す
一定のルールや範囲の中で作られた文のこともアナグラムということがあります。その場合、五十音すべてを使って意味のある文章にした「いろは歌」などは最高難度のアナグラムといえることになりましょう(いろは歌は十世紀頃成立)。ちなみに、すべてのアルファベットを使った文のことを「パングラム」といいます。
次にあげるように、海外にもアナグラム作品はたくさんある。
Elvis → Lives
Listen → Silent
Evangelist → Evile's Agent
Mel Gibson → Big Melons
ipod lover → poor devil
Statue of Liberty → Built to Stay Free
他に、数字と組み合わせて少しひねったアナグラムも作れます。
11+2=12+1
Eleven plus two → twelve plus one
6+3=9
Six and three → IX stand here
A meerry Christmas and a happy new year → May many a red wreath carry happiness
訳:メリークリスマス。そして新年おめでとう→願わくは数多くの赤い花輪が幸福をもたらしてくれますように。
Florence Nightingale → Flit on, cheering angel
訳:フローレンスナイチンゲール→軽やかに飛べ!陽気な天使よ。
なんかおしゃれ・・・
アルファベットだけでなく、漢字でもアナグラムは作れます。中国のアナグラムで一番長いものは『千字文』でしょう。これは、千文字の韻文ですべての文が脚韻を踏んでいます。始めの数行を取り出してみると次のような文章になっています。
天地玄黃(テンチゲンコウ)宇宙洪荒(ウチュウコウコウ)―ou
日月盈昃(ジツゲツエイショク)辰宿列張(シンシュクレッチョウ)―ou
寒來暑往(カンライショオウ)秋收冬藏(シュウシュウトウゾウ)―ou
・・・・・
〔読み下し〕
天地は玄黄、宇宙は洪荒なり。日月(じつげつ)は盈昃(えいしょく)し、辰宿は列張す。寒さ来たり暑さ往き、秋収めて冬蔵す。
これを作った人はかなりすごいですね。
[参考]
阿刀田高(2006)『ことば遊びの楽しみ』岩波書店
稲葉茂勝(2016)『日本語あそび学』今人舎
桑原茂夫(1982)『ことば遊び百科』筑摩書房
ことばの会(1981)『ことばあそびカタログ』現代出版