適当日記

日常の瑣事を書いています。

なぞなぞでひまつぶし

みなさん、新年度が始まり、いかがお過ごしでしょうか。自分は、ヒマすぎて日々ぼーっと田舎で過ごしております。田舎過ぎて、新入社員を見ることもありません。キラキラした新入社員はテレビの向こう側にいらっしゃるようです。

 わたくしヒマすぎて、「なぞなぞ」についていくつかの本を見て調べてみました。もしご関心がある方は読んでください(どんだけヒマやねん・・・)。参考にした本は一番最後に挙げています(そこはしっかりと)。

・なぞなぞの起こり

 日本において、なぞなぞがいつごろ発生したのかは定かではありませんが、なぞなぞに近いものとしては、既に奈良時代の『万葉集』に用例が確認できます。所謂「戯書」(たわむれがき・ぎしょ)です。次にいくつか戯書の例を挙げてみます(いずれも『万葉集』)。何と読むかお分かりでしょうか。『万葉集』本文と対応する仮名書きを並置しました。

わたのそこ おきつしらたま よしをなみ つねかくのみや  こひわたり( ① )

海之底    奥津白玉     縁乎無三   常如此耳也    戀度味試(巻7・1323)

・・・いろに( ② )ば・・・・

・・・色二 山上復有山 者・・・・(巻9・1787)

 わかくさの にひたまくらを まきそめて よをやへだてむ に( ③  )あらなくに

若草乃   新手枕乎    巻始而  夜哉将間    二 八十一 不在國(巻11・2542)

 このような和歌の世界で、日本のなぞなぞの原型は発達したようです。答えは、①なむ、②いで、③くく。なぜこうなるかお分かりでしょうか?

 

・なぞなぞの名称

 上に見たように、日本のなぞなぞの歴史は古いのですが、かつて平安・鎌倉期頃には「なぞ合わせ」「なぞ物語」などという名前でこの言葉遊びは呼ばれていたようです。このなぞなぞの名称は他に、「なぞ・なず・なじ・なんず・なんぞ・なんじょ」の系統と「あかしもん」「あてもん」「かんがえもの」の系統の二種類があります(但し、現在でもこのように言うか不明。方言ではいうのかな?)。

 

・世界のなぞなぞ

 なぞなぞは日本だけにあるのではなく、世界中に確認できます。しかも、古いもので紀元前四世紀のものもあるということです。その歴史はさておき、そもそもなぞなぞは、生活に密着した物事が答えにされることが多いので、文化・言語・歴史・風土などの影響が濃いものとなります。世界のなぞなぞを見渡すと、その国独特のなぞなぞが多いです。

 その一方で、お互いの国同士で教え合うはずはないのに同じようななぞなぞが国をまたいでみられることもあり、おもしろいです。

 

・ヨーロッパのなぞなぞ

・スウェーデン

「森はどれほど奥に入っていけるのでしょう。」

 

 森についてのなぞなぞである。国土に占める森林の割合を森林率というが、スウェーデンは世界第二位(68.7%)。一位はフィンランドで(72.9%)、三位は日本(68.5%)。

 

・ドイツ

「作った人は使わない。買った人には用がない。もらった人は、それが何か知ることは出来ない。それは何か。」

 

 日本とは異なる方法で葬る。ドイツでは墓は契約期間があるという。

 

・ルーマニア

「盛りで産まれて森育ち。冬のさなかに町に運ばれ、綺麗におめかしされる。これなあに。」

 

 ルーマニアはキリスト教国。日本でいう門松の様な役割も兼ね備えていて、一月中旬位までか

ざられるという。

 

・アジアのなぞなぞ

・中国

「入口はあるけど出口はない場所は?」

 

 中国の西にある。玄奘三蔵は無事通過した。

 

・カンボジア

「男性はたくさんいるけれど、女性は全くいない。でも、子供をたくさん育てている。ここはどこ?」

 

カンボジアは9割が仏教徒。

 

・韓国

「口があっても喋れない生き物なあんだ。」

 

 韓国では、食事の際は目上の人が料理に箸をつけてから。目上の人の発言は絶対。一つでも年上なら「オッパ」「オンニ」と敬称をつける。目上の前では煙草を吸わない。

 

・アメリカ方面のなぞなぞ

・ある殺人者が死刑判決を受けた。彼は三種類の処刑部屋から一つ選ばなければならない。どれを選ぶか。

①燃え盛る炎に満たされた部屋。

②弾丸が入った銃を持った殺し屋でいっぱいの部屋。

③一年もの間、何も食べていないライオンたちでいっぱいの部屋。

 

 アメリカの犯罪率は日本とは比べ物にならないくらい高く、裁判もかなり身近なものである。死刑について言えば、日本では絞首刑と決まっているが、アメリカではなんと処刑方法をきめることができる(州によるが)。

 

・アメリカ

「NEW YORK CITYの真ん中にあるものは?」

 

 アメリカに限らずNEWと名のつく地名は多い。これは、大航海時代に土地を占領した人々が祖国の地名や王様の名前などの上にNEWと付けて、自分の国の物だと主張したことによる。ちなみに、ニューヨークは、もとニューアムステルダムと呼ばれていて、それをイギリスが奪って、国王の弟ヨーク公の名前を取ってニューヨークとした。

 

・ボリビア

「首都ラパスのレストランで注文しないほうが良い食べ物なあんだ。」

 

 ラパスは世界で最も高い位置にある都市(標高3600m)。空気が薄く、気圧の関係で水は80-90度で沸騰する。因みに富士山は3776m。

 

・インド・中東方面のなぞなぞ

・イスラエル

「年寄りが若者に尋ねた。若者よ、逆さになると半分増えるものを知っているかい?」

 

 日本でも使われているアラビア数字。このアラビア数字は、国によって指す数が異なることを知っているだろうか。UNO等でもややこしい6と9は、イラン周辺では「9」で6と9両方を表わすことが出来る(「6」という数字は使わない)。ベンガルの方では「8」は4を示す。

 

・スリランカ

「おいしい水が入っている小さな井戸ってなあに。」

 

 水道が必ずしも全国にいきわたっていないスリランカでは綺麗な水は生活上大きな問題となる。綺麗な水を望む国だからこそのなぞなぞ。

 

・日本のなぞなぞと生活とのかかわり―なぞなぞの一つのカタチ―

新潟県長岡市栃尾では、早春のゼンマイ採りは家の婆の仕事であった。その年その年のゼンマイが生えている場所は、家族にも内緒だったという。このゼンマイ採りには、家の子供はついていくことができて、若芽のゼンマイを見ることが出来た。そのゼンマイは、渦巻き状になって綿毛にくるまれている。子供は婆に採り方を習って、夢中でゼンマイをとって、婆に見せる。すると婆はよく採れたねと子供を讃えるのだ。家に持ち帰ったのちゼンマイを筵に並べて綿毛を取り、丁寧にもんで天日干しにする。これは北国の保存食になる。夜になると、婆から子供になぞなぞが出される。

「向かいの山から綿帽子かぶってお嫁にくるものなあに。」

 子供はゼンマイの採集体験を経ているから、自信をもって「ゼンマイ」と答える。子供にとって、単なるなぞなぞ遊びにしか見えないかもしれないが、実はこの時に「ゼンマイ」という言葉とゼンマイという植物の形態が緊密に結びついているのである。

 知識と実地体験(自生場所・採集方法・調理法)とが組み合わさったとき、子どもはゼンマイの総体を身をもって知る。生活の知恵の伝授が行われたのである。

 

・なぞなぞ(二段なぞ)

 一般に「なぞなぞ」と言われるものがこれです。基本形は「○○ってなあに」というもの。○○には、すぐには分からないが、文中にヒントなどが隠されています。

 

・なぞかけ(三段なぞ)

 「三段なぞ」はあまり聞き馴れませんが、「なぞかけ」なら聞いたことがあるという人も多いのではないでしょうか。三段なぞ(なぞかけ)なぞなぞを少しひねったものです。基本形は「○○とかけて、△△ととく。その心は□□」というもの。このように、○○と△△に共通する答えを□□で出す。また、二人でなぞかけの問答をすることも出来る。問題―答え―説明の構造をもつ。

例①:テストとかけてピーマンととく。その心はどちらも苦手。

例②:A―梅雨とかけて何ととく?

   B―下手な野球選手ととく。

   A―その心は?

   B―(       ) 

 

 一生懸命調べたのですが、文字数がすごくなってきたのでこの辺で失礼します。

 

[参考文献]

佐竹昭広・木下正俊・小島憲之(1998)『補訂版萬葉集本文篇』塙書房

日本口承文芸学会編(2007)『うたう』(シリーズことばの世界4)三弥井書店

のりたまみ(2014)『つい話したくなる世界のなぞなぞ』文藝春秋

藤田慶三(2007)『ことば遊びで語彙を豊かにする』東洋館出版社